学会報告

東日本大震災研究交流会で報告しました

3月10日、第3回東日本大震災研究交流会(於:早稲田大学)で報告しました。

「東日本大震災以前の精神健康と社会経済状況との関連」という演題です。
東日本大震災で、精神的健康状態の悪化が問題視されていますが、震災以前の状況がふまえられないまま議論が展開されています。
そこで、本報告では震災以前の被災地における精神的健康状態を概観し、それと社会経済的な構造との関連を示しました。

対象フィールドは宮城県で、
震災以前から宮城県民の精神的健康状態は不良であったこと、
また、それにはいくつかの社会構造が関連している可能性を地域相関研究で明らかにしました。

東日本大震災から6年が経ちました。
いただいたコメントをもとに内容をブラッシュアップして、早々に論文化し、
東日本大震災の影響を受けた地域・住民の方々の健康問題解決につなげていきたいと思います。

日本医学教育学会のワークショップで報告しました

昨日、日本医学教育学会 プロフェッショナリズム・行動科学委員会が主催されたワークショップ「共感と〈患者視点〉~医学教育への示唆~」で「不確実な患者視点と共感」というタイトルで報告しました。
患者視点がいかにヘルスケア枠組みのなかで構築されているかをある患者の事例から示し、そしてその患者視点に立脚した「共感」が問題をはらんでいるということを提起しました。
しかし、この問題を乗り換えるために、人間視点や合理的選択としての「共感」、さらにはCollaborative Empathy(協働的共感)の可能性を提示しました。

いくつか質問をいただきました。
とくに患者視点に関する理論的不備については、ぼく自身気づいていなかったことですので大きな刺激を受けました。

講演の後、「共感」概念のあいまいさや、それを医学教育に用いる際の難しさなどをワークショップで話し合いました。

医学教育は、門外漢だったのですが、みなさんアグレッシブで非常に実りのあるワークショップでした。

第89回日本社会学会大会で報告してきました

2016年10月8~9日に、九州大学伊都キャンパスで行われた第89回日本社会学会で
「社会経済的不安と健康志向との関連──東北6県居住者対象の社会調査の分析──」のタイトルで
口頭発表してきました。

リスク社会という現代社会は〈不安〉が大きなキーワードです。
そこで、社会に対する不安を持つことが、健康を志向することとどのように関わるかを
東北6県住民対象の社会調査データを使って分析しました。

男性は階層帰属意識が低いこと、
女性は経済不安があること、
が健康志向と負の関連があることが明らかになりました。

社会的に脆弱な層は健康を志向していない、つまり社会的位置が上の人ほど健康志向していることから、
健康格差の拡大の危険性や、
社会的位置が上の人たちによる生権力構造が起こりえる可能性を指摘しました。

フロアからは、
高い社会的位置の人たちにおける将来割引率による健康志向、という考え方はできないか、
健康志向の質問の仕方、
〈不安〉概念の曖昧さ、
社会階層における〈不安〉の効果があまり大きくないこと、
婚姻状況の影響、などの質問やコメントをいただきました。

これらのご指摘をふまえて、
今後もより詳細に、〈不安〉と健康との関係を検討していきたいと考えています。